2025年美容室経営の業界トレンドと顧客の本音|データで読み解く勝ち筋

「このまま経営を続けられるのか」——美容室が27万軒を超え、倒産件数が過去最多を記録する今、多くの経営者がこの不安を抱えているのではないでしょうか。 しかし、悲観する必要はありません。市場全体は2025年に1兆3,884億円と前年比2.5%増で回復し、客単価は過去5年で最高額を更新しています。成長している事業者と苦戦している事業者の違いは何か。その答えは「顧客が本当に求めているもの」を理解しているかどうかです。
本記事では、2024年の最新業界データと100名の弊社独自顧客調査から明らかになった「顧客の本音」をもとに、2025年に小規模サロンが取るべき戦略を具体的に解説します。読み終わる頃には、漠然とした不安が「明日からできる具体的な行動」に変わっているはずです。
- 2025年の市場規模と成長の実態
- 顧客が抱える3つの不安とその解消法
- 性別・年代で異なる顧客ニーズへの対応策
- コスト0円から始められる5つの改善施策
- 効果を測定・改善するための具体的な方法
対象読者
- 小規模美容室の経営者・オーナー
- 美容室の店長・幹部スタッフ

廣田 憲彦 – StartUp Web Support代表
- 起業支援特化型ホームページ制作
- 個人情報保護士・ITパスポート取得
- ブランディング・集客支援のWebコンサルティング
関西大学を卒業後、2011年に新卒で印刷・Web制作会社に入社。2021年にクラウド会計ソフト会社でセールスマネージャーとして従事し、2023年に印刷・Web制作会社にて事業責任者として再入社。現在はStartUp Web Supportで起業・開業支援に特化したホームページ制作とWebコンサルティングで事業展開中。
2025年の美容市場:二極化する業界の実態

市場は二極化——勝ち組と負け組の明暗
2025年の美容室市場規模は1兆3,884億円と前年比2.5%増で回復傾向にあります。一方で、2024年の美容室倒産件数は107件で過去最多を記録しました。 市場は成長しているのに倒産も増えている——これが意味するのは「二極化」です。明確な価値を提供できるサロンは成長し、中途半端なポジショニングのサロンは淘汰されています。


顧客の50%が抱える2つの不安
独自に実施した美容室利用者100名(有効回答 女性79名、男性21名)の調査から、驚くべき事実が明らかになりました。
顧客の不安TOP3(有効回答数88件の分析)仕上がり・完成度への不安:29.5%(26件) 美容師とのコミュニケーション:20.5%(18件) 技術・技能への不安:5.7%(5件)となりました。
注目すべきは、不安の50.0%(1位+2位)が「仕上がり」と「会話」に集中していることです。

美容室利用時の顧客の不安要素:仕上がり・完成度への不安が最多の29.5%
(有効回答数:88件 / 独自調査)
女性 53歳仕上がりが短すぎたりしても言えない



美容師さんとの会話が不安



ずっと緊張している



希望の髪型の説明が伝わるかがたいへん心配
「短すぎても言えない」という声が示すように、顧客は不満があっても直接伝えられないという現実があります。顧客満足度研究によれば、不満を持つ顧客の多くは店舗に直接伝えることなく離れていくことが知られており、このデータはその傾向を裏付けています。



美容院利用者は、スタイリストさんの技術よりもコミュニケーションに不安を抱えていることが非常に多いことが、独自調査を通して判明しました!
性別で真逆のニーズ——男性と女性で求めるものが違う
調査で最も驚いたのは、性別による回答傾向の明確な違いです。
「美容室に求めるもの」の質問に対し、女性の71.4%が「デザイン性・流行のスタイル」を重視 、男性の86.2%が「効率性・利便性」を重視しており、独自調査の結果から女性と男性では美容室に求めるものが根本的に異なることが見えてきました。
性別セグメントのニーズに対応することが、限られたリソースで成果を上げる近道となります。


女性は「デザイン性・流行重視」が71.4%、男性は「効率性・利便性」が86.2%
(独自調査)
客単価は上昇、来店頻度は微減——戦略の転換点
利用金額の変化
ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2024年上期」のデータを見ると、興味深い傾向が浮かび上がります。
1回あたりの利用金額: 女性:7,482円(前年比+2.6%) 男性:4,708円(前年比+0.6%) 年間来店回数: 女性:4.31回(前年比-1.1%)で直近5年間で最も高い金額を記録しております。


戦略的な示唆
これまでの結果から、下記の内容が読み取ることができます。
- 高単価化は正解:物価高でも高価格帯の利用者は増えている
- 頻度より質:来店回数を増やすより、1回の満足度を高める方が有効
- 値上げ≠客離れではない:価値があれば顧客は対価を払う



弊社の調査で顧客が求める価値を分析した結果も、この傾向を裏付けます!


美容室に求める価値:「リラックス・癒し」が32.6%で最多
(有効回答数:92件 / 独自調査)
「リラックスできる」「気疲れしない」という声が最多。つまり、技術だけでなく「体験」に価値を感じ、そこに対価を払う顧客が増えているのです。
小規模サロンが知るべき3つのトレンド


トレンド① 「顧客の不安解消」が最優先課題に(影響度:★★★★★)
調査で明らかになったように、顧客の50.0%が「仕上がり」と「会話」に不安を抱え、しかも「言えない」状態にあります。2025年は、この「隠れた不満」への対応が競争力を左右します。
顧客満足度研究において、不満を持つ顧客の多くは店舗に直接伝えず離れていくことが知られています。逆に言えば、こちらから不安を解消する仕組みを作れば、大きな差別化になるということです。
- 初回カウンセリングの徹底 写真・サンプルを使った確認 「避けたいスタイル」も必ず聞く 「今日はゆっくり」or「お話しながら」を選んでもらう
- 施術中の中間確認 カット3分の1完了時に必ず確認 「今このくらいの長さですが、いかがですか?」 顧客が「言いやすい」雰囲気づくり
- 会話の選択肢を提供 入店時に希望を確認し、カルテに記録 次回来店時から反映
トレンド② 「性別最適化」の時代——男性客と女性客で戦略を変える(影響度:★★★★☆)
独自調査データが示したように、性別で求めるものが真逆です。さらに、男性美容市場は急拡大中で、特にカット以外のメニュー利用が増加しています。男性の店販購入金額も前年から917円増と大幅な伸びを示しています
(出典:ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2024年上期」)。
同じ接客、同じ提案では、どちらかの性別のニーズに応えられていない可能性があり、顧客ニーズに沿った提供サービスの最適化が重要になってきます。


- 男性客への「プラスワン提案」 男性客の3人に1人に「カラーやトリートメントに興味ありますか?」 「白髪が気になり始めたら、自然なカラーもできますよ。最近は男性の方も多いんです」 押し売り厳禁、情報提供のスタンス
- 女性客への「体験価値」提供 リラックス環境の整備(BGM、照明、アロマ) 個室・半個室の検討 施術後の「お手入れアドバイス」を丁寧に
トレンド③ 「リラックス需要」の本格化——美容室は「癒しの場」へ(影響度:★★★★☆)
調査で「リラックス」を求める声が32.6%と最多。「気疲れしない」「ずっと緊張している」という声も多く、美容室が「髪を整える場」から「癒しの場」へと変化しています。 技術が同等なら、「居心地の良さ」で選ばれる時代です。特にストレス社会の中で、この需要は今後も拡大すると予測されます。
- (即実施可能・コスト5-10万円) BGMの最適化(リラックス系音楽) 照明の調整(やや暗めに設定) アロマディフューザーの導入
- (中期・予算30-100万円) 座席間の距離確保 仕切りやカーテンの設置 待合スペースの改善
- (長期・投資判断必要) 完全個室の導入



ある個人サロンは、照明を暗めに調整し、アロマを導入しただけで「居心地が良い」という口コミが増加しました!
明日から始められる5つのアクション


ここまで業界データと顧客の本音を見てきました。では、具体的に何をすればいいのか。
このセクションでは、今週から実践できる5つの具体的なアクションをご紹介します。すべてコスト0円〜10万円以内で始められ、特別なスキルも不要です。
- ①から順番に開始してください
- 1週間ごとに次のステップへ進みます
- 完璧を目指さず、まず始めることが重要です



それでは、最も効果が高い「アクション①」から見ていきましょう!
アクション① 「初回カウンセリングシート」の導入
調査で明らかになった「仕上がりへの不安26.3%」と「短すぎても言えない」という顧客の声。この不安を解消する最も効果的で、かつコストゼロの方法がカウンセリングシートです。
具体的な実施方法
A4用紙1枚のシンプルなシートを用意するだけ。以下の項目を記入してもらいます:
- 今日のなりたいイメージ(写真持参歓迎・雑誌から選択可)
- 絶対に避けたいスタイル
- 普段のお手入れ方法
- 今日の過ごし方(ゆっくり静かに/お話しながら楽しく/お任せします)
- その他ご要望
上記を実践することで、仕上がりミスマッチ削減や「言えない不安」の解消につながり、リピート率の向上を見込むことができます。
アクション② 施術中の「3分の1ルール」確立
カウンセリングで希望を聞いても、施術中に不安になる顧客は多いもの。「短すぎても言えない」という声に応えるのが、「3分の1ルール」です。
カット施術の3分の1が完了した時点で、必ず顧客に確認をおこなうことでミスマッチを防ぎ、満足度の高いサービスを提供することが可能となります。
- カット開始後、全体の3分の1完了時に必ず確認
- 「今このくらいの長さですが、いかがですか?」と鏡を見せながら質問
- 顧客の反応をカルテに記録
アクション③ 「会話スタイル選択制」の導入
調査で21.1%の顧客が「会話への不安」を抱え、26.3%が「リラックス」を求めています。顧客によって求める会話量は全く違う——この事実に対応する施策です。
- 受付時または予約時に「今日はゆっくりされたいですか?」と質問
- 顧客カルテに記録(会話 / 静か / その日の気分で)
- 次回来店時から自動的に反映
- スタッフ間で情報共有(朝礼または予約確認時)
- 「静か希望」の顧客にも、必要な確認は行う
- 無言 ≠ 無関心。適度な気配りは必要
- 体調や気分で変わることを前提に、毎回軽く確認
上記を実践することで「気疲れしない」体験の提供することができ、顧客満足度の個別最適化を図ることができます。



気配りある会話は、お客様にとっても心地よいです!適度なコミュニケーションは意識していきましょう!
アクション④ 男性客への「情報提供型」メニュー提案
男性美容市場は前年比+161億円、店販購入額も+917円と急成長中。しかし多くのサロンは「押し売りになるのでは」と提案を躊躇しています。鍵は「情報提供」のスタンスです。
サービスを提供するのではなく、お客様に有益な情報を提供するスタンスで提案することが重要です。
ターゲット:
- 30代以上の男性客
- 3人に1人に提案(提案率33%目標)
トーク例:
✕ NG例:「カラーもいかがですか?」
→ 押し売りに感じられる
○ OK例:「白髪が気になり始めたら、自然に見えるカラーもできますよ。最近は男性の方も多いんです」
→ 情報提供のスタンス
この施策により、客単価が500〜1,000円向上し、男性客のリピート率も改善します。さらに、提案を通じてサロン全体のメニュー認知度が高まり、次回以降の利用促進にもつながります。
アクション⑤ リラックス環境の整備
「リラックス」を求める声が26.3%と最多、高価格帯利用者も4年連続増。技術が同等なら「居心地」で選ばれる時代です。利用者が心地よい環境を整えることも非常に重要です。
- BGMをリラックス系に変更(無料〜月1,000円)
- 照明を20-30%暗めに調整(調光器具:2-3万円)
- アロマディフューザー導入(1-2万円)
- 観葉植物の配置(1-3万円)
効果測定のポイント


施策を実行したら、必ず効果を測定しましょう。「なんとなく良くなった気がする」では次の改善につながりません。
このセクションでは、小規模サロンでも無理なく測定できる4つの指標(リピート率、顧客満足度、客単価)と、ExcelやPOSシステムを使った記録方法、そしてデータを経営判断に活かすPDCAサイクルの回し方を具体的に解説します。
測定すべき4つの指標
①月次リピート率
- 計算式: (前月来店した既存顧客数 ÷ 前月の総来店客数)× 100
- 目標値: 60%以上(業界平均は50-60%)
- 予約システムまたは顧客台帳から集計
- 毎月1日に前月分を計算
- Excelやスプレッドシートで推移を可視化
②新規顧客のリピート率
- 計算式: (再来店した新規客数 ÷ 新規来店客数)× 100
- 目標値: 40%以上(初回後3ヶ月以内の再来店)
- 初回来店日をカルテに記録
- 3ヶ月後に再来店の有無を確認
- 四半期ごとに集計
③顧客満足度
目標値は 「とても満足」「満足」の合計が90%以上もらえるように、顧客体験の向上を目指します。
- 今日の仕上がりは? ☐ とても満足 ☐ 満足 ☐ 普通 ☐ 不満
- 会話のペースは? ☐ ちょうどよい ☐ もう少し話したい ☐ もう少し静かに
- また来たいと思いますか? ☐ はい ☐ どちらともいえない ☐ いいえ
④ 客単価の推移
- 計算式: 月間売上 ÷ 月間来店客数
- 目標値: 前年同月比+5-10%
- POSシステムまたは売上帳から自動計算
- 月次で前年比較
- メニュー別の単価も併せて分析
- キャッシュ機能の動作確認:動的CSS、ブログカード、ヘッダーキャッシュの設定状況
- 遅延読み込み機能:画像のLazyload、スクリプト遅延読み込みの効果測定
- ファイル読み込み最適化:必要なCSSのみ読み込み設定の確認
【まとめ】データが示す「勝ち残るサロン」の条件


本記事の重要ポイント3つ
① 顧客の47.4%が「仕上がり」と「会話」に不安を抱えている
→ 初回カウンセリングと中間確認で解消できる(コスト0円)
② 性別・年代で求めるものが全く違う
→ 一律の接客ではなく、セグメント別の最適化が必要
③ 「リラックス需要」が本格化している
→ 技術+体験価値の両立が差別化のカギ
実践のロードマップ(3ヶ月計画)
- カウンセリングシート作成
- スタッフミーティングで方針共有
- 効果測定の仕組み構築
- カウンセリングシート運用開始
- 3分の1ルールの実践
- 毎日の簡易アンケート開始
- 会話スタイル選択制の導入
- 男性客への提案開始
- 月次データの分析・共有
- リピート率・客単価の変化確認
- 成功パターンの特定
最後に:デジタル発信も勝ち残りの鍵
ここまで、店舗での顧客対応と経営改善の具体策をお伝えしてきました。しかし、2025年を勝ち残るには、もう一つ重要な要素があります。
それは「オンラインでの情報発信」です。
どんなに素晴らしいサービスを提供していても、それが新規顧客に伝わらなければ意味がありません。特に開業初期や新規顧客獲得に課題を感じているサロンにとって、ホームページは24時間働く営業ツールになります。
開業・リニューアル時のホームページ制作なら
StartUp Web Supportでは、美容室を含む起業・開業時のホームページ制作からリニューアル業務まで専門にサポートしています。
- 制作費10万円の安心価格設定
- Web知識ゼロでも大丈夫
- 「集客できるサイト」で事業の拡大を支援



「作って終わり」ではなく、「成果が出るまで」サポートします!
まずは無料相談で、あなたのビジネスの目標をお聞かせください。検索からの安定した集客を実現し、ビジネスを成功に導きましょう!
美容院ホームページ制作事例



